大型犬:サルーキ
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【体 高】58〜71cm/ メスはかなり小さい
【体 重】20〜30kg /メスはかなり軽い
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■ルーツ
古代エジプトの王家の犬、コーランや聖書に登場する犬といえば、このサルーキと考えていいといわれるほど、遠い昔から人間の身近かで暮らしてきた犬だ。その名は滅亡した古いアラビアの都市、サルクに由来するという。そのルーツは紀元前7000年ごろにまでさかのぼると考えられており、全犬種中最古の歴史をもつ犬のひとつといわれている。今日あるサルーキの体形も、中国からアラビア、エジプトにいたるオリエント全域に何千年も生活してきたものと、ほとんど変わっていないというから驚きである。北アフリカから地中海沿いの西アジアの砂漠地帯を猟場としていた遊牧民とともに、ノウサギやガゼル、ダチョウ、オオカミなど、あらゆる動物を獲物として追っていたようだ。イギリスにわたったのは1840年で、その後ドッグ・ショーに出陳されはじめ、各国に知られるようになった。今日では、獣猟犬のほか、家庭犬としても飼育されている。
■外見的特徴
運動能力に優れた体形は、優美で均整がとれている。すらっと長い四肢、細身の体、柔和でおとなしそうな顔立ちからは想像しがたいのだが、砂漠地帯の猟犬として鍛えられた頑健な肉体のもち主でもある。頭部は長くて狭く、頬に接するほど長く垂れた両耳の間は適度に広がり、鼻の色は黒か赤褐色。目は楕円形で大きく、瞳は黒、他がある。長い首はしなやかだが、たくましく発達した筋肉をもつ。背中はかなり広く水平で、腰はわずかにアーチを描いてしっかりしている。胸底は深く、胸幅は適度に狭く、あばらはよく張り、腹は引き締まっている。尾は長く、通常カーブして保っている。被毛はやわらかく絹糸のように滑らか。全身を包む毛は短いが、胸元の毛はやや長く、耳の毛は長く、尾の下側や、前肢と後肢の一部に長い飾り毛がある。毛色は白、クリーム、フォーン、ゴールド、レッド、青灰色と、タン、トライ・カラー(白、黒、褐色)、ブラック・タンなどバラエティに富む。
■性 格
おとなしく、優しく利口で、とても忠実な犬種のため家庭犬として向いている。豊富な運動をとること以外は、基本的に手のかからない、頑健な犬である。性格はおだやかで人に対する愛情も深く、やや内気なところがある。そのため、一緒に運動をしたり世話をしてくれる人にだけよくなつくという面もある。また、猟犬としての習性が強く残っているので、何か目標物(獲物)をみつけると、すべてを忘れて走り出すこともある。そのため幼犬期からの訓練(特に呼んだら戻る)をしっかり行うことが必要だ。
■飼 育
柔らかく滑らかな絹糸状の被毛は、比較的手入れも容易。毎日の手入れとしては、耳、尾や四肢などの飾り毛のコーミングだけでも十分である。毛の短いところのブラッシングは、光沢のあるやわらかな毛質を傷めないように、獣毛ブラシやラバーブラシを使うといいだろう。汚れが目立ってきたら、固く絞ったタオルで拭き取ってやり、必要に応じてシャンプーをする。またたまにはやわらかい綿棒かコットンを使って、耳の掃除も行いたい。春から初夏にかけての換毛期には、皮膚病の予防のため、スリッカーブラシや金属製コームを使って、下毛を十分に取り除いてやる。
■健康上の注意点
もともと長距離走者なので、できれば広々とした場所で、自由に走らせる機会を作ってやりたい。かなりの運動量を必要とするため、1日2回、引き運動と自転車運動を交互に組み合わせ、最低30分〜1時間、たっぷり運動させてやる。運動は食前が望ましいが、仮に食後に運動させる場合は、体調のトラブルを避けるため、休憩をとってからにする。また、獲物をみつけると一目散に走り出すという性質があるので、呼んだら戻るという訓練を、幼犬期からきちんと行っておくこと。食事は、成犬では1日1回または2回のいずれか。1回の場合は夕方与えるようにする。栄養的にはドライフードだけでも十分だが、嗜好性を加味してやりたいなら、ドライフードを基本にして、缶詰めフードのほか、肉類、内臓類を煮たタンパク質、乾燥小魚、チーズなどのカルシウム、パンやごはんなどの穀類などを加えた、混合食を与えてもいいだろう。遺伝的な眼病に罹りやすい面がある。
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